法令順守とは何か~新年の挨拶に代えて

新年の挨拶が遅れて誠に申し訳ありませんでした。年末年始は体調を崩しながらも大晦日から三が日まで突貫で消尽し、4日から短い休みを取らせていただきました。

さて、新年の抱負を語る代わりに今年は法律家らしく「法令順守とは何か?」について話させていただこうと思います。

法には大きく分けて二種類あります。それは自然法と実定法です。

裁判所で裁判官と議論になることが少なくとも私には多々ありますが、そんな時に裁判官が必ずいうナンバーワンフレーズが「残念ながら法律(判例)はそうなっていない。」です。その言葉には文字通りの意味と、「もっとよく勉強してください&そんなこと言うなら国会議員にでもなって法律を変えればいいじゃないですか?」という大上段からの皮肉が含められています。

しかしながら、そう遠くない時代に「奴隷法」という法律があったのをご存知でしょうか。その時代の裁判官はある判決の中で堂々と「黒人は白人より劣った人種であるから…。」と理由づけています。だからという訳ではないですが、私は法律や判例がそうなっていると言われても直感的には、「だからなんなんですか?」と問いたくなってしまいます。ユダヤ人の大量虐殺もきちんと法律に則って行われていました。私が、「安心してください。時には法に反してでもやりますよ。」と言うと途端に青ざめる方がいらっしゃいますが、逆に私の方がその方の了見を疑いたくなってしまいます…というのは明らかに少し言いすぎでしょう。なお、先に出てきた奴隷法は「高次の法」である自然法により現代の世から消失したことは皆さんご存知の通りです。

ところで、私が法令順守っていったい何?ということを上記のような机上ではなくそれこそ実体験した話をしようと思います。それは自衛隊を退職して脚を引き摺りながら近所のイトーヨーカドーで懸命にマイバックのご協力に感謝の意を唱えていたときの話です。レジを打ち始めて二年目の夏にこういうことがあったんです。

その日は荒川の花火大会で屋上を一般開放する関係でレジ待ちのお客様が精肉鮮魚の方まで並ぶという飛んでもなく忙しい日でした。レジを打ち間違えると流れが止まり、周りのレジスターに途方もない負担を掛けてしまします。そのためいつも以上に戦々恐々としながらもうすぐ花火が始まるという午後7時を迎えようとしたその時、明らかにその界隈で一番悪そうな高校生がプレイメイトのような美女を連れて私のレジに訪れたのです。買い物かごを見ると悪そうな風体とは裏腹に甘ったるい缶酎ハイが無造作に並んでいました。ただ、それは紛れもない酒であり、未成年者に酒を売るのは法律で禁じられています。その高校生は殺気立ちながらこっちを静かに見つめプレイメイトのような美女は「何やってんの、早くしなさいよ。」とせっついて来ます。しかしながら、精肉や鮮魚まで続くお客様も同じように殺気立っており、私は大学生より高校生の方が多いと謳われた故郷である神奈川県厚木の一番街を思い出しながら、ダッカ日航機ハイジャック事件の福田首相のお株を奪う超法規的措置でその高校生に酒を売ったのです。その後、恐らく私の雑談が情報源の情報からジェダイマスターならぬチェックマスターと呼ばれるレジ打ちおばさんの親玉に大目玉を喰らったのは言うまでもありません。

時は流れて翌年の卒業シーズン、再び私の法令順守とは何か?に衝撃を与えるある出来事があったんです。ある女の子が私のレジに訪れ、アイスクリームチョコレートの銘品「ピノ」とチョーワの「酔わないウメッシュ」を持って来たのです。私は毎朝四時台に起きて間稽古を開始する極寒の板妻三曹教でアル中の先輩が「ゴリョちゃん、これ酒じゃないよね?」と聞いて来たので「そうですね。ノンアルコールって書いてありますしね。」といったら7本位一気したらしくベロベロになって点呼に廻ってきたことを思い出し、一瞬にして危機感を抱きました。同じ轍を踏まぬと私はすぐさまチェックマスターに連絡し、報告とともに指導を仰ぎましたが、チェックマスターは途端にアタフタし始め、用があるからと言ってどこかに行ってしまいました。しょうがないので私はレジを打ちました。そしたら女の子たちがヒソヒソと「ここなら大丈夫だよ。」的なことを言い始め、あっという間に私のレジにピノと酔わないウメッシュを持った少女たちの列が出来てしまったのです。恐らく少女たちの誰かがその組み合わせがハイになれることを発見し、「もうすぐ中学なんだから思い出作りに誰かの家でパァ~と盛り上がろうぜぃ、イェイ♡」とでも言ったのでしょう。それは少女たちにしか分らない、合法か非合法かで言えば合法というほかない悪事だったのです。私はそれだけにとんでもなく悪いことをしたような気持で嬉しそうにピノと酔わないウメッシュを2円掛からない透明のビニール袋に入れて帰る少女たちの後ろ姿を眺めながら「卒業おめでとう。」と呟きました。

今年もよろしくお願い致します!


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